私が小さい時に,地元のおもちゃ屋や駄菓子屋には,決まっていもフライが売っていました。いもフライトは,細い竹串に,一口大に切ったジャガイモに衣をつけて,からっと揚げて,それにウスターソースをだぼだぼつけて食べるおやつのようなものでした。値段はたしか1本5円か10円だったと記憶しています。このいもフライが大人になってから食べたくなって,妻に時々作ってもらうのですが,当時の美味しかった記憶のものと一致しません。100円というワンコインでおつりがきてしまう、駄菓子感覚のおやつ、いもフライ。じゃがいもに衣をつけて油で揚げるとシンプルさで、誰もが好きな味と言えるでしょう。特に栃木の佐野市においては愛すべき地元の味としてお馴染みです。佐野市にはこのイモフライをメインで販売する店が50軒近くあり、ソースをかけてアツアツをほおばるのが当たり前の光景だそう。佐野周辺で販売されているいもフライの衣は、ほかの地域のものに比べてもちもちとした食感といいます。ラーメンにつづく、新たな佐野名物と言えそうです。
7月21日に開かれたEU(欧州連合)緊急サミット。テーマは財政危機に陥っているギリシャへの第2次支援である。昨年危機に陥ってEUとIMF(国際通貨基金)の双方から融資を受けたものの、財政再建が進まず、ギリシャの資金調達は依然として難しかった。今回は、サミット直前までドイツとフランスの間で交渉が行われていた。
その結果、EUやIMFの支援だけでなく、民間銀行の保有するギリシャ国債のリスケジューリング(償還期限の延長)についての妥協が成立し、1090億ユーロ、日本円にして約11兆円の支援枠が決まったのである。予想よりも大きな支援にホッと一息ついたのはギリシャやポルトガル、アイルランドといった国だけではない。スペインやイタリア、そして米国や日本も胸をなで下ろしたはずだ。
ノーベル賞学者のジョセフ・スティグリッツ教授は、21日のEU緊急サミットを「歴史的な一歩だったのかもしれない」とフィナンシャルタイムズ紙に書いた。「やっとギリシャの問題は欧州の問題であると首脳たちが認識した」からである。とりわけドイツが自国民の不満(なぜ「怠け者」の国を「勤勉な」自分たちが助けなければならないのか)を押さえ込んでも、ギリシャを助けることを決めたことを指摘している。ただ、ギリシャ国債を保有する民間銀行が、ドイツ国民の不満を吸収するために、自発的な「協力」を要請されることになった。
しかしユーロ危機はこれで解決できたわけではない。英エコノミスト誌は「Back from the brink, but still close to the edge」、つまり「崖っぷちからほんの一歩下がっただけ」と指摘する。確かに、ギリシャ支援の枠組みができたとはいえ、スペインやイタリアといったユーロ圏で大きな国が資金調達難に陥る可能性が消えたわけではない。実際、これらの国の国債の利回りはユーロ圏ができて以来という高い水準になっている。実際、これまでの国と違って、イタリアやスペインといった大きな国で財政危機が発生したら、今回の支援体制では支えきれないことははっきりしている。
●財政支出の後遺症
財政危機に陥った国を助けるスキームはできても、それで財政危機はなくならない。経済成長が軌道に乗り、それで税収が増え、同時に政府は緊縮政策を取ることによって、財政再建の道筋ができるまでは安心できないのである。もともとこれらの国が財政危機に陥ったのは、2008年のリーマンショックが原因だ。経済の急激な縮小を避けるために、政府が財政支出によって下支えをしようとした結果である。
中国なども60兆円に及ぶ財政支出によって経済を支えたが、発展途上にある国と、欧米や日本のように成熟した国とでは財政支出増加の後遺症は大きく異なる。英国で昨年成立した保守党と自民党の連立政権が、財政再建に大きく舵を切ったのも、リーマンショックの後遺症から抜け出そうとしたためだ。
いまだに抜け出すめどが立たない国も多い。すでに国債の利回りが上昇しているイタリアやスペインもそうだが、いちばん注目されているのは米国だ。米国は政府が借り入れることができる債務の上限が法律で決められており、このままでは連邦政府の資金が底をつく。連邦債務の削減を約束しながら、当面の上限を引き上げようという交渉が、ホワイトハウスと連邦議会の間で続いているものの、共和党が多数を占める議会下院が強硬姿勢を取っているため、妥協が成立しない。8月2日までに法律を成立させるというデッドラインが迫っているが、7月24日の段階でまだ話はまとまっていない。一部政府の部門が閉鎖され、職員がレイオフされるというような事態になる可能性もある。
今のところ、欧米の財政危機があるために、日本が資金の避難場所となって円高に振れている。しかしもし欧米の財政危機で金融市場が不安定になると、果たして日本の国債の市場がいつまで安定的でいられるのか、保証の限りではあるまい。
国民の金融資産が1500兆円あるとか、外貨準備が1兆ドルあるとか、対外純資産で250兆円を超える世界最大の債権国であるとか言われても、GDP(国内総生産)の2倍にも達する公的借金の重みが減るわけではない。国内の資金が海外に逃げれば、たちまち国債発行に支障を来すことにもなりかねないのである。
そして日本の国債が売り込まれたら、その時になって慌てても遅いことだけははっきりしている。欧米がもし立ち直ってくれば、その時に標的にされるのは日本かもしれないのである。その時は、デフレと大震災と債務危機で日本は、緊縮経済という奈落の底へ突き落とされるリスクを覚悟しておかなければならない。
【藤田正美,Business Media 誠】
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